大学時代に親知らずを3本抜いた話【1本目】
どうもこんにちは。
前回に引き続き、親知らずの抜歯体験談をお送りします。
10年ぶりに歯医者へ行き、虫歯はなかったと安心したのは束の間、過剰歯+親知らずが上下左右4本ある事を告げられ抜歯を提案された前回。今回はいよいよ1本目の親知らずの抜歯についてです。
抜歯前日はいつもよりもずっと早く眠りにつきました。親知らずについて不安のあまり調べまくった結果、麻酔は睡眠不足だと効きづらいという情報を得ていたからです。
これでもかというほど寝て当日を迎えました。
あっ、そうですそうです、忘れてました。抜歯の1週間前に、ビビりすぎて歯医者に電話して無痛治療をお願いしていた事を書くのを忘れていました(笑)
それについてここで少し触れておきます。
抜歯が決まってから、不安で不安で何も手がつかなくなってしまい、バイト中もぼーっとしていることが多くなっていました。
生活に支障が出てくるほど不安が大きくなってきたので(今思い返せば大袈裟ですが、当時は真剣に悩んでいました...笑)、バイト終わりのとある夜、いてもたってもいられなくなって、「まだ経験したことのない、意外と平気かもしれない治療なんだから、初っ端から無痛治療はやめておけ」というプライドに従った心の声を振り切って、歯医者に電話しました。
私「あの、やっぱり不安なので、無痛治療をお願いしたいのですが...」
勇気を振り絞って不安である事を伝えると、受付のお姉さんは意外とあっさりとOKしてくれました。おぉ、意外とすんなり行くものなんだな。「えっ?最初からですか?」とか怪訝そうに聞き返されるかと思ったけど、自分が思っている以上に歯医者が苦手な人は多いのかもしれない。どちらにせよ、助かりました。
という出来事があったので、抜歯1日目は無痛治療でやってもらえるという少しの安心感と、いやそれでも痛いものは痛いのではないかというまだ残る不安と、複雑な気持ちで歯医者へ向かったのでした。
歯医者のトイレで腹を括って、いざ治療室へ。
椅子に座ってしばらくすると先生登場。親知らずも抜くことを告げて、いざ戦闘開始!
今日は右上の親知らずとその近くにあった小さな過剰歯の2本を抜きます。抜く行程は以下の通りでした。
①歯茎の表面麻酔
②注射で麻酔(麻酔が効くまでしばらく時間を置く)
③笑気ガス吸入開始(しばらく時間を置く)
④いざ抜歯
⑤抜いたところにガーゼを押し当て圧迫し止血
といった感じでした。無痛治療について、笑気ガスを使うことも想定済みでしたが、果たしてどのようなものなのか、本当に痛くないのかドキドキでした。
ちなみに笑気ガスについて少し説明すると(ネットで調べた程度の知識ですが)、笑気ガスの笑気とは「亜酸化窒素」のことを指します。歯科治療の際によく使われる麻酔で、完全な麻酔をする事は難しいですが、笑気ガスには強い鎮静作用があることで知られています。意識が完全に失うことはなく、ウトウトはしますが抜歯中の先生と意思疎通を図ることが可能です。完全に眠るわけではないので治療後すぐに帰ることができます。なぜ亜酸化窒素が笑気ガスと言われているのか、それは、笑気ガスを吸った患者の筋肉が緩んで口ものが笑ったように見えることから、そう呼ばれているようです(これに関して、私は左下の親知らずを抜歯した際にも笑気ガスを使っていただきましたが、その時に自分の顔が痺れて口角が上がっていくのを止められないような感覚になりました)。
上記のような順番で治療が進んでいったのですが、開幕①②で誤算に気づきました。
いや、抜歯で一番恐れてたの、歯茎への麻酔注射だったのですよ。歯茎へ針刺すって、どれだけ痛いんだ...これは正気ガスで軽減してもらって...って、
いや、笑気ガス吸う前に麻酔するんかいっっっ。いやマジかっ!
「じゃあまず麻酔しますねーっ」ってマジか!!
焦りました。
ただ、結果全然大丈夫でした。
親や地元の歯医者で抜歯を経験した弟妹の話によると、麻酔の注射が一番痛いと聞いていたのですが、気付いたら終わっていた...、というぐらい、針が刺さっているのも気づきませんでした。表面麻酔がすごく効いていたのかな?でも表面麻酔はそれほど効かないっていう情報のが多かったし...。
後から調べてみると、細い針を使用する、電動の麻酔注射器を使用する、麻酔は体温と同じぐらいの温度に近づける等の措置を取ることによって、痛みを軽減できるらしい。これは後日2本目以降の時に気付くのですが、電動注射器を使われていました。さすが...ありがてぇ...。
ということで誤算があり一瞬焦りながらも麻酔完了。体全身において、人生初麻酔です。不思議な感覚。なんか打った部分がパンパンに膨らんで痺れている感じです。
と、人生初麻酔に戸惑いながらも若干興奮気味の私の鼻に、マスクのようなものが。マスクに繋がれているチューブの先を見ると、何やら装置のようなものに繋がれている。なるほどこれが笑気ガスか!
1人ガッテンすると同時に「では笑気ガスいきますねーっ」と先生。いよいよ、無痛治療が...!はじまる!
続けて「大きくゆっくり鼻ですって口から息を吐いてください」と先生。言われるままに大きくゆっくり呼吸をする。何やらほんのり甘い匂いがします。しばらくスーハースーハーしてると...だんだんウトウト...してきませんでした(笑)
あら?こんな感じなのか。意外と普通だけど、もう笑気ガス効いてきてるのかな。分からん(笑)と、頭の中で「?」がたくさん浮かんでる中、「脱力感ありますか?」と先生。
まあ確かに、意識してゆっくり呼吸をしていたので、呼吸も整って落ち着いている気がする。
私「あぁー、どうでしょう。でも落ち着いてます。気がします。多分。」
先生「わかりました、では抜いていきますので何かあったら左手をあげてくださいね。」
と、身構える隙を与えられないまま抜歯が開始されました。
うぉっ!?ついに来るのか!?と思った次の瞬間、先生の全体重が顔にかけられたのが分かりました。同時に「メリメリ...メリメリ...」という音が頭に響く。その音で、今まさに先生が私の親知らずをパンチか何かで掴んで、ものすごい力で動かそうとしているんだ、と悟りました。
...。ふと気づきました。なんと、痛くありません。というか、いつの間に歯掴まれていた?それさえも気づかなかった...。
すごい...!麻酔すごい...!!
歯を抜く時、てっきり歯をパンチで掴んで、上の歯なら力いっぱい下に引っ張って抜くもんかと思っていましたが、逆に感覚的には根の方に押し込まれている感覚。へぇ、そうやって抜くんだ。こんなことも考える余裕まであり、新しい体験にワクワクしていました...(笑)
さっきまでビクビク怯えていた私は何処へ。もはや抜歯を楽しんでいました。
次に我に返ったのは、
「はい、噛んでください。」
という先生の言葉。噛むとガーゼのようなもを噛んだ感覚が。
あら、もう抜き終わったの。過剰歯も?気づかなかった。
想像の5万倍あっけなく終わりました。
止血のためしばらくガーゼを噛んだままボーッとしている間に、第一関門を突破した達成感と悦に浸りながら、これからは傷口の痛みや腫れ、さらにはドライソケットと闘う第二関門に差し掛かったのだと、再び腹を括り直しました(笑)
ちなみにドライソケットについて、簡単に説明しておきます。抜歯をした後に出来た穴のことを抜歯窩と呼びますが、抜歯窩は抜歯後間もなく血液で満たされます。その血液がカサブタとなり徐々に歯茎が再生していくのですが、膝等にできるカサブタとは違い、当然常に湿った口内でできるカサブタですので、柔らかく小さな衝撃等でも取れてしまう可能性があります。
抜歯窩に満たされて徐々に固まっていく途中段階で、口を強くすすいだり、物を吸い込んだりする等カサブタに力がかかると、そのカサブタがポロッと取れてしまい、歯槽骨が露出してしまうことがあります。こうして露出した歯槽骨が口内の細菌に感染することで激しい痛みに襲われることがあり、これをドライソケットと呼びます。いや、想像するだけでも恐ろしい...。
話は戻して、第二関門に挑む覚悟を固めてガーゼを噛んでいたのですが、この次なる試練に関しても朗報が。
先生曰く、「ドライソケットは下の歯の抜歯を行った時に起きやすく、上の歯の抜歯の時にはあまり起こりません。それに、抜歯する前も特に虫歯や親知らずの炎症もなかったので、最近感染のリスクも低いです。」とのこと。
さらに傷口や腫れについても「余った親知らずを抜いたり、抜歯に時間がかかったり、体に大きな負担がかかった時に腫れという症状が出る傾向にあります。今回は真っ直ぐ生えてましたし、すぐ抜けたので痛みも数日で気にならなくなると思いますし腫れも出ないと思いますよ。」とのこと!!
どうやら抜歯後の過酷さは抜歯時の口内状況の悪さ、抜歯の難易度と概ね比例するらしい。真面目に歯磨きしておいてよかった。真っ直ぐ生えていて、よかった...!!
胸を撫で下ろし、歯医者を後にしました。
食事も、麻酔が完全に切れたら普通にしていいとの事でしたが、さすがにそれ怖くて、その日は柔らいものをと、「日清カレーメシ」を抜いた反対側の口で食べました。
ちなみに、痛み止めは抜歯当日と次の日の朝昼晩の3回飲みました。3日目以降は痛み止めなしで過ごせました。
といった感じな、ビビり散らかした割には意外とあっけなく終わった人生初麻酔&抜歯。
でもこれも先生の言う通り、口内が健康なうちに抜いてしまったから体への負担が最小限で済んだのかな。
歯石除去はウルトラ痛くてトラウマになりましたが、それを考慮しても、これからもこの歯医者に通おうと思えるほど、この歯医者さんへの信頼度が増した一件になりました。
次回は2本目(左上)になります。
今回もここまで読んでくださりありがとうございました。次回も読んでいただければ幸いです。